初夏の木の花(12/6/24)
この季節、雑草は花の季節が終わり、今一生懸命に種作りの時期です。
とにかく、自分が枯れるまでに種を作らないことには、存在意義が
問われてしまいますから。一方、木の方はあわてることはありません。
夏の間ゆっくりと種作りをすればよいのです。で、この季節に花を咲かせる
木の花を紹介します。それぞれ個性的な花です。
(ネムノキ/アカメガシワ/ナンテン/ザクロ)
ネムノキ(合歓木) ねむのき科。
落葉高木。昔はまめ科でしたが、近頃はねむのき科として独立させるようです。
以前、クサネム、オジギソウ(11/9/23)の所で触れたので、取り上げ済みという印象が
ありますが、写真は初めてです。花は個性的で、一度見ると忘れません。
ちょっとお化粧のときに使う刷毛のような感じです。香りは桃のように甘い、
とありますが、高い所にちょこっと咲いているので、そんなに香りません。
私の嗅覚の検出能力が低いのかも。観賞用にも植えられますが、河原などにも
自生しています。大学の裏の伊自良川堤にも何本か見られます。
ねむの木の名前ですが、当然予想されるように「眠る」、つまり夜になると
葉を閉じるのです。複葉の葉がぴたっと合わさるので、人が抱き合って眠る姿を
連想したのかも(だから合歓)。でも、ネムノキとしては、夜間の不必要な熱、
水分の発散を防ぐのが目的と思われます(わー、エコだー)。
花は夕方開く、のですがこの時間(午後3時)に咲いていました。
つぼみがたくさん見えるので、咲きそろうのはもう少し後でしょう。
初夏の夕暮れに、合歓の花が一斉に咲きそろうと、そこだけ世界が
「ぽっ」と浮かび上がったような、幻想的な印象があります。
アカメガシワ(赤目柏)とうだいぐさ科。
新芽のときに葉が赤く染まるのと、葉が大きく柏のようなので、
アカメガシワです。ポインセチアを大きくした木という印象です。
アカメガシワは典型的な「パイオニア植物」、つまり何らかの理由で
植生が崩壊したときに、その土地に最初に侵入する植物です。
生命力がとても強く、成長が早い植物です。また、種子は高温にさらされると
発芽しやすくなる、とありますから、まさに山火事のあとなどの荒地に
特化した植物です。
パイオニア植物には、山菜で有名な「タラノキ」もありますが、
成長の早いことの欠点として、木が軟弱で長期的には高木との生存競争に負けて、
結局は新たな前線に追い出されてしまいます。
パイオニアはフロンティアでしか生きられないという宿命を負っているのです
(どこかの電機メーカーみたいな)。
で、このアカメガシワ、岐阜大学という過酷な環境では本領を発揮し、
至る所で繁茂しています。雑草と言うにふさわしい木です。
ナンテン(南天) めぎ科。名前の「南天」は中国名で、古来に中国から鑑賞用、
薬用として渡来したと考えられています。葉には、猛毒のシアン化水素が
含まれており、昔から食品の腐敗防止として使用されてきました。
また、多くのアルカロイド、化学物質が含まれており、
南天葉として生薬としても使われるとあります。
名前がナンテン=難転ということで、縁起物としても使われ、
お祝いの弁当などには定番でした。このため、昔はどこの家でも庭すみに
何本か植えておいて、必要に応じて利用していました。
花はそれほど目立つものではありません。おまけに、一度に開花せず、
一つずつ咲かせるため写し栄えしません。
一方、秋に赤く色づいた実は、冬景色の中に鮮やかな色取りを添えてくれます。
また紅葉も見事で、現在は観賞用として良く植えられています。
ちなみに、真っ赤に紅葉した葉ですが、常緑樹ですので、
落葉しません。ちゃんと、春になると緑を復活させます。
紅葉するのは、凍結防止のために糖分濃度を高めるためだとか、
植物もなかなか賢いですね。
ザクロ(石榴) ざくろ科。
ザクロは植物学的には孤立していて、ざくろ科は一属2種だそうです。
近年はみそはぎ科に分類されるということですが、いずれにせよ、
孤立した種です。日本には平安時代に中国から伝来しました。
ザクロの名前は中国名「石榴」の音読みです。
ザクロは、一応果実です。種の周りの甘い果肉をたべるのですが、
殆ど種ばかりで、私の子供時代でも、それほど好んで食べられたという
印象はないです。栽培品種が多数あるそうですので、私の食べたのは
食用品種でなかったのかもしれません。西洋では古くから栽培されていた果実で、
紀元前にエジプトからギリシャに伝えられ、その後ヨーロッパに伝えられました。
その頃は、現在のような改良された果物があるわけではなく、
ざくろは果物の代表のように多くの書物に現れます。
「熟れたざくろ」なんて言葉がいろんなメタファとして使われるのも、
ざくろが甘いものの代名詞になりえたからでしょう。
そういえばイチジクだって、アダムとイブがどこかを覆うのに用いたと
いうくらい古くからあるのに、今ではあまりスーパーなどに出回りません。
うーん、果物に対する好みの変化なのでしょうか。
いや、たぶん、お砂糖が安価になりすぎて、苦労して甘みを果物に求める
必要がなくなったからでしょう。また子供の時の話で恐縮ですが、
当時は「お歳暮に砂糖」が普通でした。サッカリン(知らないでしょう)
が甘味料として(別にダイエットのためではないですよ)使われていた時代です。
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