立山-剣山08-07-19,20(13/07/27)
立山、室堂から剣山登山(08-07-19,20)で出会った花々です。
休暇や天候などの事情で、7月に山に登れることは少なく、
この山旅は多くの花に出会える貴重な機会でした。
掲載種:ゴゼンタチバナ イワカガミ クロユリ ベニバナイチゴ
マイヅルソウ サンカヨウ タカネウスユキソウ ミヤマダイコンソウ
キヌガサソウ アカモノ ヤマガラシ ツガザクラ
アオノツガザクラ イワツメクサ キバナノコマノツメ
チングルマ ミヤマキンバイ シナノキンバイ
ハクサンイチゲ ズダヤクシュ オオヒョウタンボク
ゴゼンタチバナ(御前橘) みずき科。
亜高山-高山帯の針葉樹林の林床、林縁に生育する多年草です。
名前は白山の御前峰に由来する、とWikiにありました。
私は、てっきり静御前の御前かと(笑)。みずき科、
といえばハナミズキとかヤマボウシの仲間なので、と考えると、
白い花弁のように見えるのは総苞で、中心部にある小さなのが花だと分かります。
秋に赤い実をつけますが、この実がカラタチバナの実を連想させるので、
タチバナの名前がついています。某ガイドさんが、
「この花は午前中だけ立ち上がって咲くのでゴゼンタチバナです」、
と説明されていたのが(もちろんジョークです)忘れられません。
イワカガミ(岩鏡) いわうめ科。
亜高山から高山の草地や岩場に生育する多年草です。イワウチワと近縁で、
花姿もよく似ています。イワカガミの名前は、岩場に生えていて、
葉に鏡のような光沢がある花ということでしょう。イワカガミは詳しくは、イワカガミ、
コイワカガミ、オオイワカガミ、ヒメイワカガミ、ヤマイワカガミ、
に分けられるとありますが、細かい相違点がいまいちよくわかりません。
とりあえず、これはイワカガミにしておきます。
クロユリ(黒百合) ゆり科。
中部以北の高山の草地に生える多年草です。花が黒いのでクロユリ、とわかりやすい名前です。
アイヌ料理では、鱗茎を食べるとあります。
クロユリには、北海道の低地に見られる「北海道型」と、本州高山にある「本州型」があって、
違う種だとのことです。北村図鑑では、本州型の染色体2n=24に対して、
北海道型は2n=36となっています。
北海道型は、草丈も50cmほどと大きく、花数も多く、花期は4-5月、
これに対して本州型は草丈30cm以下で花数も少なく、花期は7-8月です。
北海道型と区別するため、ミヤマクロユリと呼ぶ、とあります。
当然写真は本州型になるのでしょう。
ベニバナイチゴ(紅花苺) ばら科。
北海道、本州中部の亜高山から高山の水分の多いところに生育する落葉低木です。
日本の固有種だそうです。キイチゴの仲間ですが、棘が全くありません。
果実は赤く熟し食べられますが、苦みがありまずい、とありました。
私はまだ、食べたことがありません。
花は暗い赤紫ですが、独特の色合いで、花が咲いている様子は美しい、というより
不気味な印象を受けました。
マイヅルソウ(舞鶴草) ゆり科。
針葉樹林帯の林床、林縁など、比較的湿ったところに普通な多年草です。
Wikiでは、クサスギカズラ(アスパラガス)科に分類されています。
葉の形が鶴の舞う様子に見えるというのですが、私は鶴の家紋を連想します。
花は白色の小さな6弁花を総状花序に付けます。
秋には透明感のある赤い実をつけます。
根茎を横に伸ばして繁殖するので、群落を作ることが多いようです。
サンカヨウ(山荷葉) めぎ科。
本州中部以北の深山の湿った場所に生える多年草です。
葉は茎の中部より上に2枚つき、下の葉は大きく、2裂する、
上の葉は小さく、花は上の葉の近くに数個散房花序につく、とあります。
花軸が短いため、葉の中に花が咲いているように見えます。
花は葉に比べて小さく感じます。いずれにせよ、かなり個性的な様子をしています。
実は白い粉お帯びた濃い青紫色で、甘く食用になります。
実際に食べてみましたが、個性的な味ですが、
それほど美味しいということはないようです。
サンカヨウの荷葉(カヨウ)はハスの葉のことで、サンカヨウとは山にあるハスの葉、
のような意味になります。深い切れ込みのある大きな葉をハスの葉に見立てたのでしょうか。
タカネウスユキソウ(高嶺薄雪草) きく科。
高山の乾いた草地に生える多年草で、雌雄異株です。
分布は中部地方以北です。ウスユキソウの名前がありますが、
ウスユキソウ属ではなくヤハズハハコ属です。
なので、タカネヤハズハハコと呼ぶ人もいます。
類縁のヤハズハハコとの違いは、ヤハズハハコでは葉の表は毛がなく緑色なのに対して、
タカネのほうは、葉の表にも毛がある点です。このため、草全体が白っぽく見えます。
ミヤマダイコンソウ(深山大根草) ばら科。
亜高山~高山の岩場、砂礫地に生育する多年草です。
分布は中部以北と、大峰山、石鎚山です。
名前の由来ですが、元になったダイコンソウの方は、葉が羽状複葉で
大根の葉にそっくりです。本種はその高山型ということで、
ミヤマダイコンソウになりました。
でも、葉はどう見ても、葉柄の先にフキのような大きな葉が一枚ついているように見えますが、
根出葉は大根の葉のように羽状複葉で、上部の葉も頂小葉だけが大きくなったもののようです。
地下茎で広がり、大きな群落を作ることがあります。
キヌガサソウ(衣笠草) ゆり科。
山地から亜高山帯の湿った林内や林縁に自生する多年草です。
分布は、中部以北の日本海側で、日本の固有種です。大きな葉が多数輪生し、
その中心に大きな白い花を咲かせます。
何となく、機械の歯車を連想するようなデザインで、一度見たら忘れられません。
ちなみに、衣笠ですが、貴人の頭上に掲げる絹を張った長柄の傘、
仏像などの上にかざす天蓋、とあります。
大きな葉を、衣笠に見立てたのでしょう。
アカモノ(赤物) つつじ科。
低山から亜高山の日当たりのよいところに生える常緑小低木です。
主に日本海側に分布するとあります。白、または薄いピンクの花もきれいですし、
秋に熟す赤い実も鮮やかで、高山植物の風情があります。
赤い実(偽果)は甘くて食べられます。
アカモノなんて変な名前ですが、アカモモ(赤桃)がなまったとか。でも変ですよね、
アカモモの方が言いやすく「訛る」理由がないでしょう。
類縁で白い実をつけるシラタマノキに対して、
赤い方ということでアカモノの方が納得できます。
ヤマガラシ(山芥子) あぶらな科。
山地の湿草原に生える多年草です。分布は伊吹山以北の本州、北海道とあります。
伊吹山にはたくさん生育していますが、イブキガラシの名前になっています。
亜高山-高山にも生えるのでミヤマガラシの名前もあります。
類似種に、ヨーロッパ原産の帰化雑草のハルザキヤマガラシがあり、
全国の草原に定着、要注意外来生物に指定されています。
判別方法は、残存花柱の長さだと有ります。
とりあえず、今回は立山で見つけたので、ヤマガラシとしておきます。
ツガザクラ(栂桜) つつじ科。
高山帯の岩場に自生する常緑小低木で、本州(福島県~鳥取県)、四国(愛媛県)に分布します。
茎は地を這い、樹高10-20cmほどで、枝先は立ち上がり花序をつけます。
ツガザクラの名前は、栂(ツガ)の葉に似ていて、桜のようなピンクの花をつける、
ということです。実は蒴果で、前述のアカモノのような漿果ではなく、食べられません。
花が終わっても、花軸はいつまでも残っていて、よく目だちます。
アオノツガザクラ(青の栂桜) つつじ科。
本州中部以北の高山帯に分布する常緑小低木です。
雪渓わきなど、適度な湿り気のある場所を好みます。
薄いピンクの花を咲かせるツガザクラに対して、青(緑)のツガザクラ、ということです。
類似種としては、ツガザクラ、アオノツガザクラ、のほか、
紅色の花をつけるエゾノツガザクラがあります。
ツガザクラも同じですが、花が咲いていないと針葉樹のように見えます。
イワツメクサ(岩爪草) なでしこ科。
本州中部の高山の礫地などに分布する多年草です。
名前のもとになったツメクサはツメクサ属なのに、こちらはハコベ属です。
でも、葉の形は細い披針形で、名前も細い葉を鳥の爪に見立てたものと言われています。
10弁のように見えますが、なでしこ科はすべて5弁で一枚の花弁がウサギの耳のように二つに
分かれています。なお、同じツメクサでもシロツメクサは白詰め草で、
乾燥した草をクッション材に用いたことによるもので、こちら(爪草)とは語源が違います。
キバナノコマノツメ(黄花の駒の爪) すみれ科。
亜高山帯から高山帯の湿った草地や沢沿いの林縁などに生育する多年草です。
たいそうな名前の由来ですが、葉の形が馬の蹄に似ているからとか、私には「どこが?」
という感じです。私の苦手なスミレ属ですが、高山の岩場にあること、
葉の形が先端に尖りのない腎円形をしているということで、キバナノコマノツメにしました。
チングルマ(珍車、稚児車) ばら科。
中部地方以北の高山帯の雪渓周辺の草地に生える落葉小低木です。
樹高10cm程度で、殆ど草のように見えますが木本です。
花は、ばら科らしい5弁花ですが、花後花柱が伸びて、ブラシのような実になります。
これを子供の風車に見立てて、稚児車です。
花よりも、むしろこちらの実の方がよく知られているかもしれません。
地面を覆うように大きな群落を作ります。
いっせいに開花する花も美しいですが、花後の「風車」が
風になびいている様子は、とても風情があり、私は大好きです。
ミヤマキンバイ(深山金梅) ばら科。
本州中部以北の亜高山~高山帯の砂礫地、草原に生育する多年草です。
キジムシロ属で、平地に生えるキジムシロ、ミツバツチグリとそっくりです。
高山にあるのでなければ、平地種が侵入して来たのかと思ってしまいます。
花は平地種より少し大きめで、黄色も鮮やかな印象があります。
花の名前は、深山に生える金色の梅のような花、ということでしょうか。
ちなみに、ロウバイのことをキンバイとも呼ぶそうです。
シナノキンバイ(信濃金梅) きんぽうげ科。
本州中部地方以北の高山帯に生える多年草です。
雪渓が解けた後の湿った草原に大群落を作ることが多いです。
同じキンバイですが、ミヤマキンバイがばら科なのに対して、
シナノキンバイはきんぽうげ科です。
花も、直径3~4cmと大きく、また花色も、
きんぽうげ科特有の鮮やかな黄色で、非常にはなやかです。
キンバイというたいそうな名前は、ミヤマキンバイよりは
シナノキンバイの方にあっている気がします。
類縁種ではない種に同じ接尾語(ここではキンバイ)
を用いると、混乱することもあるので、
できれば別名にしてほしいなと思います。
ハクサンイチゲ(白山一華、一花) きんぽうげ科。
中部地方以北の亜高山帯~高山帯にに生える多年草です。
雪渓の縁や雪解け跡など湿った環境を好み、しばしば巨大群落を作ります。
イチゲとありますが、一つの花軸に数個の花をつけます。
イチリンソウ属(Anemone)なので、イチゲになったのでしょう。
花径も2-2.5cm程度と大きく、数個がまとまって咲くためよく目立ちます。
白色の花弁のように見えるのは萼片で、通常5-7枚です。
地域変種にエゾハクサンイチゲ、シコクイチゲがあります。
写真のように巨大群落を作ることが多く、存在感があります。
ズダヤクシュ(喘息薬種) ゆきのした科。
亜高山帯、深山の林内、林縁に自生する多年草です。
名前の由来ですが、喘息の咳止薬として用いられたので、
名づけられたとあります。ズダとは木曾地方の方言とあります。
写真を拡大してみると、先端部は花が咲いていて蕊が見えますが、
下の方はすでに種が育っています。
なお、白く花弁のように見えるのは萼片です。
こちらも、群落を作ることが多いような気がします。
オオヒョウタンボク(大瓢箪木) すいかずら科。
中部地方以北の亜高山〜高山帯に生える落葉低木です。日本の固有種です。
葉の付け根から花軸を伸ばし、先端に2個の花をつけます。
実は赤く熟すと2つが融合し瓢箪のように見えることから瓢箪木ですが、
同じすいかずら科のキンギンボクと区別するため、
葉の大きなこちらがオオヒョウタンボクです。
実は葉柄の付け根から出ているのですが、まるで葉の真ん中についているように見えます。
秋に赤く熟す瓢箪型の実は有毒です。
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