春の荒島岳(2008/5/6)
荒島岳は標高は1523mですが、日本百名山にも選定され、植生の豊かな山です。
登山道でであった花々を紹介します。
掲載種名:ハウチワカエデ イワウイチワ カタクリ キクザキイチゲ
キスミレ? クロモジ マンサク ミヤマカタバミ ムラサキヤシオツツジ
ムシカリ シャクナゲ ショウジョウバカマ タムシバ
チゴユリ ツリガネツツジ ザゼンソウ
ハウチワカエデ(羽団扇楓) かえで科。
北海道、本州の低山から亜高山帯の山地に生育する落葉高木で、日本固有種です。
花は雄花と両性花を一つの木に付けます。新芽、紅葉が美しいため、庭にも植えられ、
園芸品種も販売されています。メイゲツカエデの別名もあります。
羽団扇とは、天狗の持つ鳥の羽で作られた団扇のことで、
葉の形が似ているというので名づけられました。
イワウイチワ(岩団扇) いわうめ科。
山地の林内、林縁に生える多年草です。日本の固有種で、
分布は近畿地方以東です。いわうめ科と言われてもなじみが薄いですが、
他にイワカガミ、イワウメがあります。
ともに、山地に生える植物です。
名前の由来は、葉の形が丸くて団扇に似ているというのですが、確かにそうも見えます。
透明感のある薄紅色の花はとても可憐で、山野草として愛好・販売されているそうです。
でも、やはり野に置け、ではないですが、汗をかきかき登った道でこんな花に
出会えると、感動してしまいます。
カタクリ(片栗) ゆり科。
原野や草原、落葉広葉樹林の林床に生える多年草です。
Spring ephemeralと呼ばれる花の仲間で、春一番に花を咲かせ、
他の植物が生い茂る初夏には地上部は枯れて休眠します。
片栗は成長が遅く、発芽後7−8年で開花します。
そのぶん寿命も長く4-50年ほどにもなり、適地では巨大群落を作ります。
しかしながら、そのような群生地はだんだんと少なくなり、
今では残された群生地が天然記念物に指定するなどして保護されています。
かつては、この根茎からデンプンを抽出、片栗粉を作っていたのですが、
現在片栗ととして販売されているものは、主としてジャガイモなどのデンプンから作られます。
キクザキイチゲ(菊咲一華) きんぽうげ科。
落葉広葉樹林の林床に生育するSpring ephemeralの代表です。
花色は、白色から薄紫までの変異があります。
類縁種として、エゾイチゲ、アズマイチゲ、ユキワリイチゲ、イチリンソウがあります。
すべて、総苞葉の上に一輪の花をつけます。
キクザキイチゲは葉の形が菊に似ているというのでつけられました。
分布は、近畿以北の本州、北海道とあります。
薄暗い山中に透き通るような花弁が光を浴びて咲いている様子は、幻想的です。
キスミレ?(黄菫) すみれ科。
日当たりのよい山地の草原、岩場などに生える多年草です。
とにかくスミレの分類は難しく、花色が黄色のスミレにも、
キスミレのほかに、タカネスミレ、オオバキスミレ、
キバナノコマノツメが図鑑に掲載されています。
ここでは、葉のつき方、形などからキスミレとしましたが、自信はありません。
山梨県、静岡県など一部に点在する希少種とあり、荒島岳にあってよいのでしょうか。
クロモジ くすのき科。
低山や疎林の斜面に分布する落葉高木です。材に芳香があり、
古くから高級爪楊枝の材として使用されるほか、
昔はこの木から香料の黒文字油が作られました。
クロモジの名前は、若枝の表面の斑紋を文字に見立てたと言われています。
雌雄異株で、写真は雌蕊が見えないので雄花でしょうか。
クロモジ属には、ダンコウバイ、アブラチャンがあり、みな春に一斉に
黄色い花を咲かせます。
マンサク(万作) まんさく科。
マンサクは、岐阜大学の花々
早春の木の花(12/2/23)
で取り上げましたので、解説はそちらをご覧ください。
ミヤマカタバミ(深山片喰)かたばみ科。
岐阜市近郊の花々
低山の草花(13/3/30)、
で紹介済みですので、解説はそちらをご覧ください。
ムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅) つつじ科。
山地から亜高山の林縁や疎林内に生育する落葉低木です。
樹高は1-2m程度になります。分布は北海道、東北、滋賀県以北の日本海側とあります。
花は、葉の展開より少し先に咲きます。
雄蕊は10本で、そのうち歌舞の本が長く花弁から突き出ています。
ヤシオの名前を持つツツジは多数あるのですが、ヤシオ(八汐)の語源はよく
わかっていないようです。
ムシカリ(虫狩) すいかずら科。
山地に普通な落葉小高木です。別名オオカメノキとも言います。
ムシカリは、葉を蒸しが好むため、またオオカメノキは葉が亀の甲羅
のように見えるからだとか。ガクアジサイのように周辺の装飾花、
中心部の実をつける両性花からなる散状花序をつけます。
装飾花は不規則に5裂し、よく目立ちます。
秋に実が熟すと緑から赤、黒と変化します。
シャクナゲ(石楠花) つつじ科。
酸性土壌の山地に生える常緑低木です。分布は、愛知、長野富山以西とあります。
北村図鑑には、「日本のツツジ属の中ではもっとも美しいが、
栽培は困難である」とあります。
類似種のハクサンシャクナゲ、アズマシャクナゲでは花冠が5裂するのに対して、
シャクナゲは7裂するとあります。写真もよく見ると7裂しているように見えます。
北村図鑑ではシャクナゲとありますが、牧野図鑑などでは、シャクナゲを総称名とし、
本種をツクシシャクナゲとしています。
ショウジョウバカマ(猩々袴) ゆり科。
岐阜市近郊の花々、
低山の草花(13/3/30)、
で紹介済みですので、解説はそちらをご覧ください。
タムシバ(田虫葉) もくれん科。
山地に生える落葉小高木です。同じもくれん科のコブシと似ていますが、
コブシでは花の下に葉が一枚あるのに、タムシバはないことで区別できます。
花も少し大きめです。タムシバの名前の由来ですが、葉を噛むと甘みがあり、
噛む柴から転じたものとのことです。芳香があるので、ニオイコブシの名があります。
分布は本州、九州とありますが、Wikiには西日本には高木型が、東日本には低木型が分布し、
別種と考えられる、との記載があります。
写真は高木型なのでしょうか、樹高6−7mはあったような気がします。
チゴユリ(稚児百合) ゆり科。
伊吹北尾根の花、
で紹介していますので、解説はそちらをご覧ください。
ツリガネツツジ(釣鐘躑躅) つつじ科。
酸性土壌の低山に普通な落葉低木です。分布は静岡県西部、石川県以西とあります。
名前の通り、釣鐘の形をしているのでツリガネツツジです。
薄黄緑の釣鐘の先端部分に紫の半纏があります。
ツリガネツツジの仲間はヨウラクツツジ属を構成し、日本では7−8種が自生し、
釣鐘状の花を咲かせます。
赤紫の花を咲かせる箱根ツリガネツツジが園芸種として販売されています。
確かに園芸種は美しいのですが、地味な黄緑色の花も、
野趣があってよいと思うのですが、いかがでしょう。
ザゼンソウ(座禅草) さといも科。
山岳地の湿地に生える多年草です。花の形を、
修業僧が座禅をしている所に見立てたのでしょうか。
達磨大師に見立ててダルマソウの名前もあります。
個人的には、花姿はダルマソウの名前がぴったりとすると思うのですが
いかがでしょう。
雪解けと同時に花を咲かせるのですが、
Wikiには、開花する際に肉穂花序で発熱が起こり、周りの雪を溶かして
他に先駆けて花を咲かせる、とあります。
それぞれの花は、隠れた努力をしているのですね。
同時に悪臭を発し、この匂いにより昆虫(ハエ類)を呼び寄せます。
葉は花時には丸まっていますが、花後に大きく(20-40cm)展開します。
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